マルチメディア特集  子ども守る“防犯携帯” 通話先限定タイプ人気  県内でも就学時に需要 2004年5月31日 高知新聞 朝刊 13ページ (全1404字)  子どもを狙った事件が頻発する中、子ども用の防犯グッズ需要が高まっている。 児童らに防犯ブザーを無償貸与する取り組みが、高知市内で今年四月から新入全児 童を対象にスタートしたほか、現在、県内で一部を含めて実施しているのは十七市 町村を数え、その動きは今後も拡大しそうだ。最近は、さらに進んで通話先を限定 したPHS(簡易型携帯電話)が、子ども向けの防犯用品として関心を集めつつあ る。  高知市内の小学二年生の女児(七つ)は昨年、小学校入学と同時に“携帯デビュ ー”した。といっても、通話先を限定したタイプのPHSで、手のひら大の端末に は、通常の携帯電話のような数字部分はなく、液晶画面と五つのボタンがあるだけ だ。 ▼発信は最大3カ所  このタイプは、受信は自由にできるが、発信は最大で三カ所にしかできない。  通話と終話機能以外の三つのボタンに、それぞれ番号を事前に登録しておき、ボ タンを押して発信する仕組みだ。  女児が通う小学校近くで不審者が出没しているとの情報を知って、心配した共働 きの両親が購入した。  女児のPHSには、両親の携帯電話と自宅の番号を登録している。登下校時に電 源を入れ、学校にいる間は電源を切る。習い事などで一人で下校する際は、帰宅後 、必ず両親の携帯に電話する――などの決まりを作って運用している。  本体価格は消費税込み七千百四十円。使用料は毎月の基本料金だけで千二十九円 掛かる。  母親は「防犯ブザーだけでは不安。それが、通話料も含めて月二千円ぐらいの出 費なら、安心料として高くない」と話す。 ▼低料金が売り  このPHSは、DDIポケットの扱っていた従来の電話と同じデザインの端末を 改良したもの。トヨタ自動車、DDIポケット、京セラの三社が開発し、二〇〇二 年六月から発売を始めた。  高齢者と子どもを意識したデザインで、操作の簡単さと低料金が売り物だ。私用 電話ができないといった点から、社員との連絡用に使うケースもあるという。  県内の取扱店の一つ、トヨタカローラ高知情報通信課主任、和田郁子さんは「高 知は都会に比べビジネス用の需要は少ない。高齢者向けより子ども用に購入される お客さんが多いようです」と傾向を分析する。  さらに、同社の一宮店では、一昨年の発売開始以来「約百台販売した」という。 その多くが小学校入学と同時に買い与える親で、先月は子ども用に十台売れたとい う。通話先が限定されるため、一般的な携帯電話に比べて子どもが掛けすぎる心配 がないことを購入理由に挙げる親も少なくないそうだ。 ▼位置検索サービスも  また、別途料金を払えば、PHS端末に位置情報検索サービスを付けることもで きる。あらかじめ登録しておけば、auの携帯やパソコンで、その登録PHS端末 所持者の居場所が調べられる。  基地局との距離により誤差があり、このサービスを付けると電話の発信場所が二 カ所に減るデメリットはあるものの、県内でも子ども用に利用するケースがあると いう。  和田主任は「長崎の事件などの後、このサービスの問い合わせが急増しました。 子どもの安全についての関心には、都会も地方も格差はありません」と県内での反 応の高まりを話している。(メディア情報部) 【写真説明】 下校時に「帰るコール」をする小学生(高知市万々)